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ライターWS講座 第3回レポート

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So-So-LAB.では、2021年の11月から12月にかけて、全3回にわたってライターワークショップ講座を開講いたしました。講師を担当していただいたのは、大阪を拠点に編集者としてご活躍されている多田智美さん(株式会社MUESUM代表)です。なお、本講座は、コロナ禍の状況を鑑みオンラインで実施しました。

今回は、1214日(火)に行った第3回目の講座をレポートします。
3回目のテーマは、『“編集”の武器「伝える力」を鍛えよう』ということで、いろいろな視点で物事を見るということを学んだ前回を振り返るところからスタートしました。 

よく見るということは、無意識を意識化するということ。多田さんは、漫画家小山ゆうじろうさんの『とんかつDJアゲ太郎』という作品を例に挙げながら、編集の出発点となる「よく見る(観察する)」という行為は、いったいどんなことを可能にするのかという問いを参加者の皆さんに投げかけました。一見結びつかないような二項の共通点を見つけ出し、点と点をつなげることで、新たな視点や表現のアイディアが生まれると多田さんは言います。別のなにかに例える力は、それを届ける相手の知らないことを伝える力にもなります。

そこで、そもそも「伝える」ってなに?というお話に。

多田さんは広辞苑の言葉を引用しながら、なにかを伝えようとするとき、必ずしもそれを受け取る側の準備が常に整っているわけでないというお話をしてくださいました。一体誰に届けようとしているのかを見極め、その相手の環境や状況をよく見て、想像することで、伝えるための表現の工夫は変わるということです。

書きたいことがわからなくなったり、何を書くべきなのかわからなくなったときに、この基本に立ち返って、頭の中を整理することが大事だということを教えていただきました。
ライターや編集者という仕事は書き手である一方、読者でもあります。読むという行為は決して受動的なものではなく、主体的で能動的な行為であり、同じ一つの本でもその鑑賞体験はひとつではありません。本を読みながら自分がどのような描写にハッとしたり、感動したり、あるいは憤りを感じたのかという、読者の立場である自身を観察し、分析することもライティングのヒントや助けになるというお話もしていただきました。

ここで実践的なワークの時間に。参加者の皆さんがそれぞれ抱えている「まとめなければならない原稿や文章」を具体的に思い描き、それについて多田さんが質問を投げかけました。

【質問の内容】

1、それは一言でいうとどんな記事・企画?
2、その内容を伝えたいと思ったきっかけや理由は?
3、紹介したい対象(ひと・もの・こと)について教えてください。
4、その対象について、私的にグッときたポイントは?
5、読んでほしい、届いてほしい人はどんな人?
6、完成した内容を読んで、感じてほしいことは?
7、この記事をきっかけに、起きたら嬉しい奇跡の出来事は?

それぞれの質問に対して、シンキングタイムを1分間取ったのちに、参加者の皆さんが考えたことを発表し合いました。このように、自分が書こうとしている内容について、書き手と読み手の立場を行き来しながら考えを深めることで、対象をどのように伝えたいかが決まってくると多田さんはお話ししてくださいました。

魅力的な伝え方は、ひとや組織を動かす力を持つと多田さんは言います。伝えたいことを一つに絞ること。読み手の心に訴える「物語」を紡ぐこと。その「物語」が最も伝わる表現を考えること。重要なポイントを三つにまとめていただいて、講座は終了となりました。

参加者の皆さんからいただいたアンケートの中には、こんな熱いメッセージが。

・毎回本当に面白く、講座が終わったあともしばらく頭がぽかぽかしていました。普段仕事をしているなかで、解像度が荒かったり足りないと感じていながらも自分ではどうしたらいいかわからないことがたくさんあったのですが、そうしたことに対して改めて立ち止まって考える時間をいただけたように思います。また、講座中のワークでは参加者の皆さん各々の考えや視点をお聞きしながら参加でき、お互いの頭の中をシェアしながら価値観をほぐしていくような時間が持てたこともとても楽しかったです。コロナ禍以降、特に取材以外ではひとりで制作する時間も多かったので余計にそう感じたのかもしれません。多田さんのレクチャーとあわせて、参加者の皆さんの前向きな姿勢にも励まされながら参加していました。現在携わっている仕事にも、今回学んだことをさっそく取り入れてトライしてみたいと思います!

・とても内容が濃くたのしくあっという間の3回でした。自分は商品開発をしつつキャッチコピーやフライヤーのテキストを考えたりもしていますが、いつも「何を伝えたいのか」が迷走してしまい、文字を書くことは好きなのに苦手意識をもってしまっていました。今回の講座に参加して、付箋や紙にまず書き出す→自分の伝えたかった事を見える化→もっと魅力的に伝える方法をいろんな角度から見つけ出す→周りに発表したり見てもらってブラッシュアップする。この循環を続けていきたいと思います。短い間ではありましたが、様々な方と一緒に編集について学ぶことができてとても充実した時間でした。

・全3回の講座を通して、様々な気づきを得ることができました。参加者の皆様の回答を知ることで自分とは違った視点、自分ならではの視点に気づくことができたと思います。また、最近記事を書く際に表現や構成がマンネリ化していましたが、講座に参加して「書くこと、編集することは面白い」という感情を取り戻せたように感じています。

たくさんのユーモアを交えながら、編集という技術についてとてもわかりやすく私たちに伝えてくださった多田さん。これこそが編集の力か・・・!と、毎回目から鱗が出るような新たな学びをいただき、大変勉強になりました。本当にありがとうございました! 今回の講座が、参加者のみなさんの今後の活動の大きな支えとなることを願っています。

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