私と「スポーツ」
「勝負ごとになると、性格変わるね」。子どもの頃、何度も言われてきた言葉だ。もちろん、その自覚はある。普段、喜怒哀楽をあまり表に出さない性分だが「スポーツ」というフィルターがかかると、心の奥底に眠る感情が一気に爆発。勝負に勝つと、制御装置がバグを引き起こしたかのように、叫び、狂い、暴れまくる。その姿に、ドン引きされてしまうこともしばしばだ。
でも、改めて考えてみた。スポーツが私を変えるのではなく、スポーツが本能を引き出しているのではないかと。人は誰しも、周りの目を気にして生きている。当然、私もそうだ。ともなれば、いつもの私は、私を演じているだけであり、叫び、狂い、暴れまくる姿こそ、本当の私のなのかもしれない。仕事でよく、スポーツ現場の取材に足を運ぶことがある。そこにはいつも、無邪気に喜びを露にする選手たちの姿がある。そんな光景をうらやましく眺めながら、今日も私は私を演じ、目の前の仕事に向き合っていく。
Photographer = 庄子隆
1975年生まれ、仙台市出身。10年間の会社員生活の後、写真の世界に。スタジオ勤務などを経てフリーランスになる。商品、料理、人物を主に広告、雑誌、自治体広報など多岐にわたり活動。
Writer = 郷内和軌
1992年生まれ、岩手県一関市出身。岩手県立一関第一高等学校卒業後、仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科に進学。アルバイト等で執筆経験を積み、2015年4月より岩手県盛岡市の制作会社「株式会社ライト・ア・ライト」に入社。地域限定スポーツ誌「Standard」などの制作に携わり、昨年4月よりフリーランスに。趣味はJリーグ観戦。中でもベガルタ仙台の試合は、年に数回の現地観戦を含み、すべての試合を観戦している。