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ライターバトン -17- 「手作りのお弁当」

仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。

手作りのお弁当

息子の幼稚園入園が決まってからずっと悩みのタネになっていたお弁当作り。料理を作るのは好きだけど、盛り付けのセンスは全くない私。おまけに不器用だから、キャラ弁なんて論外!そんな私に子ども用の“可愛い”お弁当なんて作れるのだろうか…なんて言い訳しつつも、朝は早く起きなきゃいけなしメニュー考えるのも作るのも面倒くさいが本音なのだ。

うちの息子は生まれたとき低体重だったこともあり、周りの子に比べると一回り小さい。食もかなり細く、ご飯は仏壇にあげるくらいの量でもうごちそうさま。少しでも食べて大きく育ってほしいという想いが伝わらないことにイラつきなぜ食べてくれないのか何度か怒ってしまったこともあったし、保育園の栄養士の先生に泣きながら相談したこともあった。そしてもっと悩んだのが、よく吐くこと。1歳くらいの時はほぼ毎日吐いていた。小児科に相談しても原因はわからず、このくらいの歳は食道が短いから吐きやすい、吐いても元気なら大丈夫としか言われなかった。さらには笑いすぎても吐いてしまうので、はしゃぎすぎないように毎日かなり気を使って生活していた。

そんな息子がお弁当を食べてくれるの?
こんな私に子どものお弁当作れるの?

たかがお弁当作るくらいでしょ…。
頭で分かってはいても、力を抜けないのが私の悪い性格なのだ。

お弁当が始まるまでの数ヵ月、まずは“可愛いお弁当”を求めてひたすらネットを検索したりレシピ本を買ってみたりととにかく必死に“研究”した。

まずは、一週間ごとに献立表を作ることからスタート。メニューが決まったら今度は自由帳をひっぱり出してお弁当の絵を書いてみる。ご飯をここに詰めて、メインのから揚げはここ、緑はブロッコリーで、黄色はやっぱり卵焼き…やると決めたら徹底的にやる!闘争心に火が付いた私は納得するまでそれを繰り返した。さらにテレビか何かの影響を受けて、冷凍食品は使わない、前日の夕飯の残りは使わないとどうでもいいルールを加えた。ただでさえレパートリーが少ないのにさらに自分を苦しめていると分かっていても、頑固な性格が邪魔をして今でもこのルールは続いている。

初日のお弁当は、何とか作ってみた大好きなウルトラマンのおにぎり。妙にデカいし、笑えるほど不細工だったけど息子はすごく喜んでくれたようで、帰ってきて開けたお弁当が空っぽだった時は涙が出るほどうれしかった。今は献立表を作らなくても、絵を書かなくても何とか作れるようになったし、見た目も子どものお弁当らしくなってきた。でもきっと他の子のお弁当よりも可愛さもないし、レシピ本に出てくるような華やかさもない。それでも「ママお弁当おいしかったよ!」と言ってくれる息子には本当に感謝しかない。

最近は、「次のお弁当は肉団子がいいな!」とか「卵焼き突然嫌いになったの!」とかリクエストもしてくれるようになった。「えー面倒くさい」と思うこともあるけど、教えてくれるのはうれしいし、やっぱり笑顔のためなら作るしかない!まだまだ続くお弁当生活。あまり力まず、息子の意見ももらいながら二人で一緒に作っていこうと思う。

次回

次回は「手作りのお弁当」の「う」から始まるテーマで及川恵子さんが登場。及川さんは出版社時代の後輩で私の数少ない飲み友達。笑顔しか思い浮かばないほど、みんなを元気に明るくしてくれるパワフルで素敵な女性です。「う」という難しいテーマですみません。

佐藤智美

山形県出身。大学進学のため宮城県へ。大学卒業後は仙台の印刷会社や出版社にて勤務。現在はやんちゃな5歳の男の子と毎日戦うママです。毎年の目標はダイエット。いつかは叶えたい。

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