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【SC3カフェvol.46】「シルクスクリーン講座」|ゲスト講師 古川貴司さん特別インタビュー

東京都町田市にある印刷工房「ZigamePrinting」で、刷り師としてさまざまなアーティストのプリント製作を手がけながら、自身の作品制作にも取り組む古川貴司さん。8/25-269/15-164日間、卸町のanalogで行うシルクスクリーン講座にお呼びするにあたり、工房におじゃまし活動について伺いました。

 

 そもそも、何がきっかけでシルクスクリーンを始められたんですか?

月曜美術クラブっていう、ある服屋さんに集まるメンバーでつくった会に参加したことがきっかけでした。美術展観に行った後に飲みながらいろいろ話をするっていう、ただそれだけの会なんですが、絵を描いたりドクロつくったり、みんな何かつくることをしていたんです。自分は観る専門で何もつくっていなかったんですが、何かやってみたいなと思いシルクスクリーンを始めました。

 

 それまで経験はあったんですか?

まったくありませんでしたね。近くの工房に通って、経験を通じて少しずつ技術を身につけつつ、youtubeとかで映像見ながら知識を深めていった感じです。

 

 どのようなステップを経て、仕事にできるようになったんでしょう?

はじめは、月曜美術クラブのつながりで物々交換のようなかたちで印刷を請け負っていました。彼らともお金のやりとりをするようになったのは、お互い少し余裕が出てきてからですね。そうして少しずつ自分が刷ったものを世に出していくことで存在を知ってもらえるようになってきて、今はまったく知らない方からの依頼もあります。

 

  印刷を請け負うのが、メインの仕事の形態なんでしょうか?

オリジナルのものを刷って売るというのが、もう1つの仕事のやり方ですね。はじめて外に出した作品は、アメリカのあるバンドのポスターでした。webにアップしたら「欲しい欲しい」って依頼が殺到して、一緒に工房をやっている兄が翌日の現地でやるライブに行く予定だったんですが、フライト時には残り1枚とかになってしまって。

 

  それはすごいですね。

オリジナルのものの方が売れたときの喜びもやっぱり大きいですよね。ただ、一方でまったく売れないものもあったり、確実に収入を得られるのは印刷を請け負う仕事だったりするので、難しいですね。それと、誤解がないように補足をしておきますが、収入に関しては印刷工房をやる前から携わってきた建築施工の仕事頼みの部分が大きいというのが現状です。

 

 オリジナルのものは、ご自身で絵を描かれているということなんでしょうか?

いえ、自分は全然絵が描けないので、写真とか既存の素材を使ったものがメインです。シルクスクリーンの特徴を活かして「これ、どうやって刷ってるんだろう?」っ思ってもらえるようなものをつくるのがおもしろいんですよ。

 

 絵が描けなくてもできちゃうんですね。

全然できますね。インクの量とか刷り方とか、いろいろ工夫ができる技法なので。今から始める方も、こっちのやり方だととっつきやすいんじゃないかと思いますね。

 

 

  印刷工房の活動を通して、実現したいことはありますか?

もっとシルクスクリーンが身近なものになるといいですよね。アメリカは、業界規模が大きい分安価だということもあるんですが、ポスターを買うことが文化として定着しているんですよ。「これは誰の作品だから」という感じで名前で買うわけではなくて、「かっこいいから」っていう理由で買うくらいに浸透していますから。

 

 日本だと、シルクスクリーンのポスターは高価なんですか?

そうですね。美術品のような扱いで、「この人の作品だから」という感じで購入される方がほとんどだと思います。身近なものにするためには、もっとたくさんの方に届ける必要がある。そのために必要なのは、1つはシルクスクリーンを使ってものをつくる人を増やすことだと思っています。

 

  普及のために何か取り組まれていることはあるんですか?

印刷の請け負いも、オリジナルの制作販売も、コストを抑えることで価格を下げるようにはしています。印刷は版の数に伴ってコストも膨らんでいきますが、印刷の相談をいただいたときには、かけ合わせで色をつくることで版の数を減らすような提案をしたり、お客さまの満足度、品質、利益、どれも落とさずにできる方法を探すようにしていますね。

 

 では最後に、ワークショップに関する意気込みをお願いします。

手を動かしながらお話するような、実践的なものになると思います。堅苦しいことは一切ないので、気軽に参加してほしいですね。

シルクスクリーン講座概要・お申し込み:https://sendai-c3.jp/sc3_2021/events/sc3cafevol46/

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