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採集染料の開発と応用【結工房】中間報告会レポート

プロジェクトのこれまでの順調(様々な苦労はありましたが)な経過をご報告いただき、今後の展望もお話しいただきましたが、今回は染料や顔料以外の部分を補足的にお伝えします。

染料や顔料は、それだけでは紙や布や木に塗っても定着しません。そこにお互いを繋ぎ合わせるものが必要となります。その定着剤として、もち米から作る米糊や、豆乳などから作ったガゼイン糊など試した中で、和紙のコーティングなどで使用されていたコンニャク糊に着目し、川崎町で和紙工房をやられている塚原英男さんにコンニャク糊の作り方のご指導もいただいたそうです。

布の定着については、定着剤を混ぜて塗り、さらに蒸すことで洗っても落ちないような強度を生んでいたのですが、手間がかかることや量が多くできないことが課題となっていました。今後、その課題を克服できるような方法を模索していくそうです。

定着の他にも発色や色の耐候についても試行を重ねていて、色を濃くするために胡粉(炭酸カルシウムを主成分とする顔料)を用いる技法があるということで、吉田さんが海岸に赴き貝殻を拾って細かく砕き、粉末状にして混ぜて使用しているそうです。また、日光による退色の度合いについても比較検討を行なっています。

直近の試作としては、藍色と茜色を使用し印刷した年賀状を作成しました。(添付写真)

この後の展望としては、少量の紙への印刷は可能となったので中量の印刷のテスト、それに必要となる大量の染料や顔料を作る工程の設計、技術センターでの堅牢度の試験、他の印刷やプロダクトへの応用を考えていらっしゃるそうです。

開催日:2021年1月18日(月)
執筆者:榎本幸弘(伴走支援者/榎本デザイン事務所)

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