ライターバトン -16- 「美しい姿勢を求めて」
仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。
美しい姿勢を求めて
「あんた、すっごい猫背でひどい姿勢だね」
ニュース番組に映ってしまった私の姿を見たという、姉の心無いひとこと。
ニュース番組に映ったといっても、悪いことをした訳でもなく、
善行で表彰されたのでも、事件の目撃者になった訳でもない。
イベントの取材現場などでは、
時折、居合わせたテレビニュースのカメラに映り込んでしまうことがある。
「そんなにひどいものかしら?」
姉の口の悪いのはいつものことだと思いつつ、
ちょっとばかり気になって、当日の夜の部のローカルニュースをチェックした。
画面の端にほんの3秒ほどか、見覚えのある姿。
大きなバッグを肩に担ぎ、手帳を手にして背中を丸めた大柄の女。
グレーのカーディガンを羽織っていたその姿は、
そう、まるでねずみ男!
否、私だったのだ。
姿勢の悪いのは少なからず自覚していたものの、
夢中になってメモをとる丸まった背中、
重いバッグを落とさないように力を入れる左肩、
さらにゆったりとしたズボンをはいていても一目で分かってしまうO脚(おーきゃく)。
撮られていること(正確には見切れてしまっただけ)を意識していないとき、
私は、こうも、醜かったのか…。いや、意識していてもそんなでもないのだが。
もう、とにかく、救いようのない悪姿勢だったのだ。
ずっと前に、O脚矯正のために整骨院に通ったことがあった。
念のため説明すると、ひざが外向きになってしまい、
立った状態で左右両ひざがくっつかない状態がO脚だ。
施術内容はおぼろげだが、整体で股関節を緩めた後、
仰向けになり両足首と両膝をくっつけた状態で縛り上げられ、30分ほど放置される。
これが結構しんどい。メンタル的にも。
さらには、ヒールの高い靴禁止令まで出されてしまった。
当時の私はハイヒールが大好きで、この条件は「到底飲めない!」と、
数万円出して購入した回数券を使い切らないうちに通院を止めてしまったのだ。
それ以来、10数年ぶりに姿勢改革に取り掛かった。
我慢すること、痛いことはNG。高価な健康グッズもNG。
簡単じゃないと続けられない、
なんだったら簡単でも三日しか続けられないことがほとんど。
そんな私が選んだのが、「肩甲骨サポーター」。
詳しい商品名はもう覚えていない。
パジャマゴムの幅を広くしたようなゴムで両肩と背中をサポートし、
背中が丸まらないように補正する用具らしい。
付けてみると、圧迫感があるが、なるほど両方の肩甲骨の間が閉まったような感じがした。
が、しばらくつけていると肩の締め付け感が気になって外してしまった。
それ以来、このサポーターを見失ってしまい、未だに見つかっていない。
100円だったし、まあいっか。
次に選んだのが、クッションだ。
骨盤を起こす美姿勢クッションとのこと。
姿勢矯正にもなるうえ、骨盤サポートで腰痛対策にも良いときた。一石二鳥だ。
早速ネット注文で届いたのがこちら。
いい感じである。座ると自然に脚が閉じて、膝がくっつく。
女優さんや女子アナのように座れる!
脚を組む歴20数年の私が脚を組まなくてもしんどくない。
心なしか背筋が伸びている。
なんでこうなるのかメカニズムはよくわからないので割愛するが、
これは続きそうだ!
さて、めでたく姿勢改革の相方を見つけた。
その矢先、「これって痔のO型クッションだよね」と友人。
一石三鳥の超優秀クッションだった。
次回
次に「て」からはじまるテーマでコラムを書くのは、小さな体で子育て奮闘中の佐藤智美さん。真面目さとお茶目さをあわせ持つ不思議な魅力を持ったママさんライターです。
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佐藤有希
フリーペーパーの編集部勤務を経てフリーランスとして独立。
コピーライティングと編集を主に、ときどきゆるめのイラストを描いています。