Project プロジェクト

事例紹介:とても小さな「マッチ箱マガジン」のちょっとしたお話

クリエイティブ・プロジェクト助成事業で生まれた、
小さくてかわいい「おまけ付きマガジン」

「マッチ箱マガジン」は、株式会社佐々木印刷所が平成24年度の「仙台市クリエイティブ・プロジェクト助成事業」を活用して生まれました。
株式会社佐々木印刷所の代表取締役である佐々木英明さんは「たまたま仙台市のウェブサイトでプロジェクト助成のことを知りました。ずっとマッチ箱を集めていて、いつか自分で作ってみたいなという思いがあったんです。それで、マッチ箱に本を入れてみたら面白いんじゃないかとプレゼンに挑みました」と話します。

株式会社佐々木印刷所の代表取締役・佐々木英明さん

クリエイティブ・プロジェクトのプレゼンでは「緊張してしまって、何を言われたのか覚えていない」と笑いますが、ここで当時仙台市のクリエイティブプロデューサーを務めていたイラストレーターの泉友子さんが担当プロデューサーとなったことで、「マッチ箱マガジン」は、より洗練されていきました。泉さんは「私、小さいものが好きなんです。小さいものの中にマガジンとおまけを入れるのっていいな、って思いました。ただ、当初もらったラフではちょっとつまらなかった(笑)から、中に入れる絵柄をきちんとクリエイターが作れば、絶対に売れると思ったんです」と話します。
春日町にある雑貨店&展示スペース「Merry Merry Christmasland*dia and merilab」を主宰する泉さんは、「売れる商品」を見抜く販売のプロでもあります。その泉さんの紹介で、泉さんを含む5人のイラストレーターが集結。そのひとりでもある佐藤ジュンコさんは「マッチ箱マガジンにかかわったことで、『いいな、好きだな』ってことが増えました。(取材で)人と話せたのがすごくうれしかったし、それまで地域のことにあまりかかわっていなかった私も、このプロジェクトをきっかけに、もっと自分が残したいと思うことを描けばいいんだと思いました」と話します。

お互い尊敬しあえるクリエイターとの協働
それこそが、プロジェクト成功の原動力

プロジェクトの進行中、毎月行う佐々木さんと5人のクリエイターとの打ち合わせでは「みなさんがどんなものを持ってくるか、いい刺激になっていた」と話す、泉さん。佐藤さんも「イラストレーターってひとりでやってるみたいだけど、ひとりじゃないって思えた」と話します。その結果、2013年にはグッドデザイン賞、2014年の第1回新東北みやげコンテストで最優秀賞、2016年の第3回新東北みやげコンテストでは、「マッチ箱マガジン」から進化した「こけしクリップ」が、最優秀賞を獲得しました。

担当プロデューサーを担った泉友子さん

泉さんは「1回で5種類出るので、選べる楽しさがあるのもいいところ。小さいので、“ばらまきみやげ”に近い感じで買っていってくださるお客さまもいるんですよ」と話します。この第一弾の成功によって、現在では第三弾までを発行。さらには、宮城県とポケモンの共同観光キャンペーンで「みやぎ応援ポケモン」に就任したラプラスとのコラボレーションが叶いました。「『ラプラスミニミニ宮城マガジン』というもので、おかげさまで好評をいただいております」と、佐々木さん。そして「こうして第二弾、第三弾とできたのも、スタートアップの助成があったからこそ。ここで利益を出せたので、次につながったんですよ」と。
泉さんは「次は『パンとコーヒー』みたいな、女の子がほしい情報とか、大人っぽいものでお酒とか。いろいろ出したいですね」と話し、佐藤さんも「マッチ箱マガジンって、いろんな切り口があると思うんです。続編が作れればいいな」と意欲的。

イラストレーターとして参加した佐藤ジュンコさん

これからもクリエイターとの協働で、ますます楽しくなりそうな「マッチ箱マガジン」。ぜひ、手に取って読んで、描かれた場所やモノに出合う“小さな旅”に出かけてみませんか?

※令和2年度の「クリエイティブ・プロジェクト助成」は近日募集開始となります。乞うご期待!

取材・構成・撮影:千葉 太郎
1989年宮城県生まれ。 仙台を拠点に、主に広告やテレビ番組を制作。 ディレクター・映像カメラマン・エディターとして、様々な案件に参加。
https://sendai-c3.jp/sc3_2021/creators/creator/taro-chiba/

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