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クリエイターインタビュー|高山 知矢さん(後編)

照明の販売と施工、コンサルなどを行う株式会社パルックスで、プロジェクションマッピングやライティングによる空間演出のデザイン・制作を手掛けている空間デザイナーの高山知矢(たかやま としや)さん。子ども時代のコンピューターとの出合いから、パルックスへ入社するまでの経歴、そして現在の仕事などについてお話を伺いました。

 

パルックス空間演出事例

 

―円通院さんの紅葉ライトアップなどのイベント系のお仕事はどうやって実現しているのですか。

2016年から、弊社が照明演出のお手伝いをさせて頂いているんです。2017年はプロジェクションマッピングの提案に円通院様が興味を持って頂き「洞窟でマッピングしたら面白いかも」とお話しされたので「それ、やってみましょう!」となりました。円通院様のご好意もあって実施させて頂いたところ、とても幻想的な演出が出来て、観覧者の方々からも非常に良い評価を頂いたようでした。

松島「円通院」プロジェクションマッピング

―コンテンツづくりのヒントは何から得ているのですか。

円通院様の場合は、境内に有名なバラ園があるので、そのバラをモチーフにした柄を入れました。そして、松島の時の流れを施主様よりご要望頂いていたシノワズリ調に描いて、歴史の長さや、自然が映し出す季節の移ろいを表現しました。日本三景である素晴らしい景観の松島に関連するものを散りばめて、その土地をリスペクトすることで、円通院様のコンテンツはつくられていった感じです。

―クライアントとはディスカッションを重ねながらコンテンツをつくられるのですか。

円通院様の場合は、相当ディスカッションを重ねました。今まで私が携わった中で、一番大きいプロジェクションマッピングのイベントでしたし、半年前から準備を始め、完成までの1週間は、細かい修正点や調整を都度行いました。昼はコンテンツの修正、夜は実地でテスト…と、ずっと徹夜でした(笑)。

―コンテンツをつくるときに、大事にしていることは何ですか。

施主様のご希望を伺うことはもちろん、どのような経緯で弊社に声をお掛け頂いたのかなど、コンテンツの背景に込められた思いを丁寧に汲み取ります。施主様と同じ目線に立たせて頂いた上で、今までの経験を交えながら色々とご提案をさせて頂くセッション形式でコンテンツを作成します。その中で意図しない着想のきっかけを得ることもありますので、何気ない会話も大切にしています。あとは、「お客様第一」という根幹にどのように枝葉を発生させたらいい化学反応が起きるかな…と、考えています。そして、うまくいかない枝葉は切って、根幹をはずさないようにやっていくと、いい作品ができると思います。お客様の意見は絶対尊重しながら、私の意見をあくまで添え物として出しつつまとめていく感じですね。

―一日の仕事のスケジュールは?

スケジュールは決まっていないですね。お客様優先です。例えば、来週は九州の仕事があり、仙台から九州だと移動で一日消えてしまいますし。プレゼンでお客様にデモをお見せしたり、打ち合わせをしたり、現地で調査や機器の設置調整をして、コンテンツの動作チェックをして、という日もあれば、ずっと社内にいて、コンテンツのプログラムを組んでいる日もある。決まったローテーションはなくて、会社から指示を受けるという業務でもないので、納期がこの日なので今日はこの流れで動くなど、スケジュール管理は自分で考えてやっています。

―社内でコンテンツをつくる方は、高山さん以外にもいるのですか。

いないので、欲しいところです。なので、今年度「クリエイティブ・プロジェクト」で採用いただいた「パルコン(※)」は、技術に関心がある学生の力を見られるというのと、今後、一緒に仕事ができる人が生まれていく可能性の場になるといいなと、私としては思っています。

※「パルックス プロジェクションライテイングコンテスト(通称パルコン)」…映像制作等を学ぶ学生や制作に携わるクリエイターを対象に、プロジェクションライティングの作品コンテストを開催し、地域における制作技術の向上と人材の発掘・蓄積をめざすプロジェクト
https://sendai-c3.jp/sc3_2021/projects/pal-contest/

―クリエイティブ・プロジェクトを通して変化したことはありますか。

自分が今までやってきたWEB以外の、映像や演出といったこれまで出会わなかった分野の人たちと出会うことができたということが、一番大きいですね。これまでこの業界で活躍されてきた方の中に、未熟者ではありますが私も仲間として入れていただけたことで自分の能力も高めていけますし、すごくいい刺激になっています。このクリエイティブ・プロジェクトは、自分の中では相当プラスになったと思います。

―これまで仙台でいろいろな仕事をされてきたわけですが、仙台で働くということで何か感じることはありますか。

私は、生まれも育ちも仙台で、仙台が大好きで。まず仙台の何が好きかと聞かれれば、伊達政宗公を筆頭にベガルタ仙台、そしてサンドウィッチマンさん(笑)! だから、就職時や仕事も、震災以降も仙台を出るという考えはなくて。少しでも仙台、宮城と共に歩んでいくことにこだわってきました。地方でも頑張っているのをきちんと売り出せると、東京からの仕事も多くなります。そして、仙台自体が、何かに特化した「とんがり」を持てるといいかな、と。今は仙台で何を連想しますかって聞かれても、先の震災や伊達政宗公とか牛タンとしか言われないじゃないですか。政宗公は大好きなので言われると、とても嬉しいですが(笑)。

―とんがりを持たせるとしたら何だと思いますか。

私は、仙台をITやクリエイティブのまちにしたいです。例えば全国的に仙台市と似ている福岡はITのまちと認知されていますよね。仙台もそうなれると思いますし、実際、力入れています。すでに仙台市国家戦略特別区域であるドローン特区や大手のIT企業の関連会社の誘致をしていますが、まだ他にもITでいろいろできる余地はあると思うんです。学都仙台というように、学生が大勢いるまちなので、彼らが仙台に残りたいと思えるようにするのが一番。学生が学んでいる分野に合致した場をつくってあげないと。その点では「パルコン」も、学生が仙台にそのまま残ってもらえるきっかけになるようにしたいですね。

―クリエイティブ分野の仕事をめざす人や、なりたての人にアドバイスはありますか。

最初は、日々の勉強と、トライアンドエラーです。
業務改善でPDCA(※)とよく言われますけど、自分の中ではSTPDで動いています。

S】はSEE、見る。自分の目で見て、その物事をしっかりと捉える。

T】はTHINK、考える。捉えたものをどうすればいいのか、自分の中で模索する。

P】はPLAN、企画・計画してみる。

D】はDO、実行・やってみてどのような結果になったか確認する。

そのサイクルが仕事の仕方としては大事だと思います。
あとは、常にアンテナを張って、最先端の情報を仕入れること。でも、疲れたときは休んでいいと思いますし、休みながら詰め込み過ぎないで仕事してもらえたらいいと思います。

※業務改善方法のひとつでPlan(計画Do(実行)→Check(評価)→Action(行動)を指す

―今後チャレンジしたい仕事はありますか。

やはり宮城・仙台が好きなので、どんどん県内の空間演出を手掛けて宮城・仙台を盛り上げたいです。復興の光ではないですけど私の空間演出である【あかり】自体がみんなを笑顔にできる空間を作りだせれば良いかなと思います。

「アクアテラス錦ヶ丘」プロジェクションマッピング

※高山の「高」は、はしごだかが正式表記

取材日:平成291219
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)、岡沼 美樹恵
構成:岡沼 美樹恵

 

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高山 知矢

1980年生まれ 宮城県仙台市出身
・東北工業大学高等学校(仙台城南高校)
・東北電子専門学校卒業
・株式会社パルックス 空間デザイナーとして活躍

クリエイティブ部門だけでなく、マルチの知識を活かしたソフトウェアのデザインと作成、プログラムやシステムの開発も行っている。また、設計や施工などハードウェア分野にも精通し、商品の開発にも携わっている。

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