クリエイターインタビュー|我妻 美臣さん(後編)
東北工業大学を卒業後、仙台市にあるウェブ制作会社、株式会社メキメキにデザイナーとして就職した我妻 美臣(わがつま みお)さん。入社2年目、唯一の女性社員として日々奮闘する我妻さんにお話を伺いました。
―こんな仕事にチャレンジしていきたい、こんな人になりたいなど、今後の展望について教えてください。
仕事をすればするほど、もっとうまく表現できるようになりたいという思いが強くなってきています。上手にコミュニケーションがとれて、自分の意思をきちんと伝えられるデザイナーになりたいと思っています。
―会社の中でこんなことを期待していると言われたり、または、こんなことを期待されているなと感じることはありますか。
上司からはデザインだけでなく、コーディングやコミュニケーションなどもできる人材になってほしいと言われているし、自分でもそうなりたいと思っています。そのためにも、まずはデザインに込めた自分の考えをきちんと言葉で伝えられるようになりたいと思っています。
―暮らしや仕事において、仙台だから諦めてしまっていることはありますか。
特にないと思います。
ただ、会社では話したことがないんですが、ある人に「仙台のデザインってあまりよくないよね」と言われたことがありずっと心にひっかかっています。その言葉を見返してやりたいというか、東京にも負けないものをつくれるようになりたいという思いはあります。
―仙台とか宮城ということにこだわってやっていきたいという思いがあるんですね。
東京だったらすべていいの?じゃあ宮城はダメなの?ということはすごく思っています。自分もまだまだ勉強中の身ですけど、「東京にない地方ならでのは良さがあるものをつくりたい」という思いで頑張っています。
―仙台にこんなクリエイターがいたらいいな、とかありますか。
それ、よく考えてるテーマですね(笑)。
仙台のような地方都市は、東京に比べて技術が浸透するのが遅いと言われることが多いですよね。だからこそ、今で言うとVRのような最先端技術を学生も社会人も関係なくいろんな人が体験できて、アイデアを出し合いながらその技術を使って何かをつくっていけるような施設があったらいいと思うんです。最先端の技術に長けている人、そういう場所へ積極的に参加する人が仙台にいたら面白いと思います。
―これから仙台のクリエイティブ系の学校を卒業する後輩たちへ、メッセージやアドバイスをお願いします。
仙台にはクリエイティブの就職先が少ないと思っている人が多いように感じますが、それはwebサイト上の求人だけを見ているからだと思うんです。実際私の会社も求人が出ていたわけではないですが、興味があったのでこちらから相談に伺いました。だから、仙台でこういう仕事がしたいという思いがあるなら、いろいろな会社を調べて、求人がなくてもとりあえず行って話をしてみるのもいいと思うんです。話してみて初めて分かることもたくさんあるし、もしかしたら新しいメンバーを求めているかもしれないですし。何もせずに、地元で希望の仕事に就くことを諦めている人はもったいないと思います。
―え?募集がないのに、「こちらから就職させてください」だったんですか?
そんな感じです(笑)。アルバイトのときも、メキメキのwebサイトから「相談させてください」という感じでメールを送りました。
社長が勉強会に参加していた私のことを覚えていて、時間をつくってもらえたので、そのときに「働かせてください」って(笑)。学生だったので怖いものがなかったんですね。
―すごい行動力ですね。不安はなかったですか。
もちろんありましたし、正式に入社するときにも不安はありました。私以外のメンバーは長年プロでやっているので、私が入ったところで何ができるんだろうって。でも、そこはすべて取っ払って、私はとにかく吸収すればいいやって。何ができるかじゃなくて、自分ができることを全力でやるんだと思うようにしました。
―会社のメンバーからもらった、印象に残っている言葉はありますか。こういうことを言ってもらったからすごく頑張れているとか。
「世代も性別も違うからこそ、別の視点で考えることができる」と言ってもらえていることは、すごく励みになっています。「男性3人の中で私はやっていけるのか」と思ったこともありましたし、今でもまだまだ足りないところばかりです。でも、上司や先輩にそう言ってもらえて、「女の私だからこそできることもあるはずだ」とも思えるようになりました。お客さまやユーザーも男の人だけではないので、そこは女の私が頑張ってやっていこうと思っています。
―では最後に、メキメキの好きなところを教えてください。
好きなところ、たくさんあります。
まず、いろいろな業務をやらせてもらえることです。デザイナーになったらデザインだけをひたすらやるという会社もありますが、メキメキは打ち合わせや撮影にも同行できたり、印刷物のデザインもやらせてもらえたりします。仕事の進め方、お客さまとの関わり方も好きです。アフターフォローまでていねいに行うスタンスがいいなと思います。そして一番は周りに経験豊富な先生が3人もいるところです。この環境で私はこれからどれだけ多くのことを吸収できるんだろうとワクワクしながら仕事ができるので、毎日楽しいです。
取材日:平成28年12月5日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:工藤拓也
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我妻 美臣
宮城県松島町出身。株式会社メキメキ デザイナー。
東北工業大学でWebやプロダクト、ビジュアルデザイン、映像技術などを学ぶ。
学生時代の卒業研究では、KinectとProcessingを使った人に反応する映像作品を制作し展示。
現在はWeb・印刷などのデザイン業務に携わっている。