庭とつながる大きな吹き抜けを持つ二世帯住宅である。
東には私道が走り、南には隣家越しに寺院の桜が見える、空間的に抜けがある敷地環境であった。バリアフリーを前提とした、施主の多趣味な生活そのものを内包できる、開放的な空間が求められた。
　住宅を敷地の西側に寄せ、東側にそれと同じ長さの庭を設けた。それぞれが庭に向かって開口部を持つよう、大きな吹き抜けのＬＤＫや寝室、水廻りを住宅の東側にまとめた。庭を通して大らかな周辺環境を感じることができる、明るく風通しの良い室内空間を目指した。
　吹き抜けは住宅の中心的な役割を担い、快適な室内環境をつくり出す装置でもある。夏は重力を利用した自然換気、冬は薪ストーブと床暖房による自然対流をうながす。
　内外装は施主の要望に応える形でさまざまな素材を用いている。全体と部分が調和するディテールを検討し、デニムでスーツを仕立てるような、ラフだが崩しすぎないバランス感覚を心がけた。