sd.mod.live

2019.03.28

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写真

 本作は打楽器奏者によるスネアドラムの即興演奏の映像と、実際のスネアドラムを使用したオーディオヴィジュアル・パフォーマンス作品である。演奏時にオペレーターはコンピュータを用いて、同期された映像と音声をコントロールすることで演奏を行う。本作の演奏スタイルは従来の電子音楽と同様である。しかし決定的に異なる点はスピーカーから音が聞こえてくるのではなく、ステージに置かれたスネアドラムから聞こえてくるということである。
 通常楽器の演奏には、演奏された音だけではなく、それに付随する視覚的な振る舞いも含まれる。しかし、電子音楽においては楽器の音のみがサンプリングされ、振る舞いは失われた状態で再生されることが一般的になっている。本作では、演奏の音と共にその姿もサンプリングすることで、電子音楽で失われていた視覚的な振る舞いを復活させた。
 打楽器奏者の即興演奏に内在する連続的なリズムを、オペレーターがスキップやループなどのデジタルなリズムで断絶することによって融合させる。そこで生まれる音響は生演奏には不可能なものであるが、そこに置かれた楽器から聞こえてくることと、映像によって振る舞いが付随することによって、デジタル表現と私達の世界が結び付けられたような印象を引き起こす。