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クリエイターインタビュー|嵯峨 倫寛さん(前編)

学校アルバムを制作する会社で経験を積み、2013年よりフリーランスのカメラマンとして広告分野を中心に活動している嵯峨倫寛(さが みちひろ)さん。作品制作にも精力的に取り組んでおり、定期的に個展・グループ展なども開催している嵯峨さんにお話を伺いました。

 

―今までのキャリアについて教えてください。

大学の写真部時代から関わっていた学校アルバムの会社に新卒で入って、そこで9年間働きました。その会社を辞めてフリーランスになり、今年で5年目ですね。

―学校アルバムの会社ではどんな仕事をしていたんですか?

メインは大学のアルバム制作でした。主に撮っていたのは季節ごとのキャンパスのスナップ写真とか、ゼミの集合写真とかですね。それと、撮影だけでなく編集作業もしていました。

―9年間同じ会社に所属するというのは、カメラマンとしては長い方なんでしょうか?

どうなんでしょうね。僕がいた会社は、辞めてフリーになる人がいなかったので比較できないですが、もうちょっと早く辞めようとは思っていました。いろんな撮影がしたいと思ってカメラマンになったので、年単位である程度やることが決まっているアルバム制作の仕事を続ける気持ちはあまりなかったです。それと、編集作業に対するモチベーション的な部分での葛藤もありました。9年というのは、まあタイミングだったと思います。

―前の会社を辞めるきっかけはあったんですか?

震災を経験したことは大きかったですね。ずっと同じ仕事を続けるうちに、いつの間にかぬるま湯につかってしまっていたことに気づかされ、やりたいことをやるべきだと改めて思いました。もともと自分の中にあった「写真で勝負したい」って気持ちもより明確になりましたしね。

 

―フリーランスになってからはどのような仕事をされてきたんでしょうか?

前の会社や知り合いの方からいただく仕事からスタートして、全体的には広告関係の仕事が多いですかね。

―震災が起きて、関連する仕事が増えたりとか、環境が変わったりということはありましたか?

特にはないですね。震災のときは前のアルバム制作の会社にいたので、仕事で撮ることもなかったし、個人として撮る気もなかったです。環境の変化としては、あの時期は自粛自粛で業界自体の仕事が減っていました。フリーの人も大変そうだったし、僕のいた会社も財政的に厳しかったです。

―現在の仕事のスケジュールを教えてください。

フリーなので決まっていませんが、撮影に出かけ、戻ってきてデータを処理してというのが基本的な流れです。撮影がない日でもデータの色直しとかはしますが、土日は休みになることが多いですかね。雑誌の撮影だとだいたいこの時期が忙しいというのはありますが、広告に関してはご依頼いただくタイミング次第なので、忙しい時期も決まっていません。

―1つの仕事が終わるまでどれくらい時間がかかりますか?

ものによりますね。例えば、32ページのスクールガイドを小中学校分撮影すると、期間で言うと2ヶ月くらいかかります。一方で、ポスター撮影など短いものは半日くらいで終わります。

―撮影期間が長い仕事と短い仕事では、どっちが楽しいですか?

基本的に、仕事は全部楽しくやらせてもらっています。スパンが長い仕事はモチベーションを維持するのが大変なので、そういう意味ではスパッと終わる仕事がいいですが、期間が長くても、デザイナーさんや営業さんときちんと打合せをして、チームとして一緒につくっていける仕事は楽しいんですよね。

―TRUNKの入居者とのつながりなど、仕事環境について教えてください。

入居して1年半くらい経ちますが、仕事関係のつながりは大分幅が広がったと感じています。近い分野で仕事をしている人たちからいろんな情報を得られるし、停滞したら置いていかれるような緊張感があるのもいいですね。

―『とうほく あきんど でざいん』の制作にも参加されていますが、参加してみていかがですか?

なかなか仙台ではできないような仕事が多いので、すごくおもしろいですし、志がある人たちとやれるのですごく楽しいです。きちんとその志に応えたいという気持ちも出てきますよね。

―嵯峨さんは、スマホでも写真を撮ったりするんですか?

しますね。メモ的にというか、普通に撮りますよ。人にきちんと見せるものを撮ろうとは思わないですけど、フェイスブックとかにあげるのに撮ったりしますね。趣味で登山をするんですけど、可能ならスマホでいいなと思っています。「山の景色とか写真撮るんでしょ?」ってよく言われるんですけど、僕の場合は仕事で使うようなカメラでは撮らないんですよ。写真を撮ることに集中しちゃうとどうしても仕事的になってしまうので。ただ、スマホは寒いとすぐ電源落ちちゃうんで、ちょっといいコンデジを持って行ったりしています。スマホに対して別に否定的ではないし、便利なので全然使いますね。

取材日:平成29年6月30日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:工藤 拓也

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嵯峨 倫寛

1980年宮城県石巻市生まれ。写真家/フォトグラファー。東北学院大学工学部機械工学科卒。
浪人中に写真を撮り始め、大学卒業後に(株)491アヴァンにカメラマンとして入社。その後、2013年よりフリーランス。現在は広告分野をはじめ、幅広く活動。また、作品制作も精力的に取り組んでおり定期的に個展・グループ展等も開催しています。
写真の魅力は「想像の幅」があることだと思います。被写体から、それ以上のものを伝えるのが、私にとっての写真です。

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