ライターバトン -27- 「いつだって決めるのは自分だから」
仙台を中心に活躍するライターが、リレー形式でおくります。前任ライターのお題をしりとりで受け、テーマを決める…という以外はなんでもアリの、ゆるゆるコラムです。
いつだって決めるのは自分だから
笠松さんからバトンを受けとりました。「い」から始まるタイトルにする以外は縛りがないので、今さっき思いついたフレーズをそのままタイトルに据えて書いてみようと思います。普段は取材やインタビューをして記事を書き、タイトルは一番最後に決めます。
最初に思いついたフレーズは「いつだって決めるのは自分」だったのですが、「ん」で終わると、次の方が「ンゴロンゴロ保全区に行ってみたい」とか、限定的な言葉しか使えないのでやめました。いつだって決めるのは自分だから。はじまり。
今日のランチのメニュー、さっき開封してしまったメールに返信するかどうか、週末の過ごし方、着るもの、何時に寝ようか。毎時毎分、決めることがやってくる。決めることの波に曝されている。
そして、決めるのは疲れる。頭を使う。決めることばかりだと、脳みそがすりへっている感じがして、私はラムネを補給する。決めることで疲れないように、何着もの同じシャツを用意して毎日同じパターンの服を着る著名人もいるけど、そこまで徹底することもできない。
決めること、は、それ以外の選択肢を捨てること。選ばないこと。
自分の選んだこと以外は全部捨てている、と改めて気づいた。
選ばなかった世界に存在する、幾多の選ばなかった選択の先にいる自分のことを考える。なんて書くと哲学的だけど、つまり”たられば”の話。あの時こうしていたら、どうなっていただろう?と、架空の物語を紡ぐ。
決めないで流されたことがあったとしたら、それは「決めないこと」を決めたから。流されることを決めたから。歯を食いしばってでもこの仕事をやる、これも、その時点の自分が決めたから。あ、過去を思い出して書いたことなので、リアルタイムのことじゃないです。念の為。
自分で決めたことなので、腹をくくって自分で全部責任を取る覚悟ができていれば、決めたことを翻すのもアリ。そうすることで自分に対する風当たりが強くなったり、色々言われる結果になっても、そういうことを全部含めて受け止めるなら、いいと思う。「あなたはあなたのことをする、わたしはわたしのことをする。それでいっしょにいられるなら、それはとても素敵なこと。それでいっしょにいられないなら、それはそれでしかたのないこと」。折に触れて思い出す、ゲシュタルトの祈りでも、そんなことを言っている。
あなたがやってること、わたしがやってること、あの人がやってること。どれも素敵。だって、その人が決めたことだから。
次回
「東北のいまを伝えるメディアを興す」と決めて仙台へ移住し、現在はTOHOKU360の編集長をつとめる安藤歩美さんに私からバトンを渡します。安藤さんには記事チェックやイベントで、もう5年近くお世話になっています。安藤さんのエッセイが読んでみたいな、という私からのお願い、聞いてくれてありがとうございます!
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若柳誉美
東京都三鷹市生まれ、宮城県仙台市そだち。好奇心のアンテナが向いた事には自ら飛び込んでいくスタイルで、ジャンルレスの活動を続ける。 朗読ユニット100グラード主宰、荒浜のめぐみキッチン活動メンバー。