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クリエイターインタビュー後編|奥口文結(ファシリテーター・ブランドデザイナー)

自分の活動を通して、ブランディングの大切さや素晴らしさを広めていきたいです。

エフエム仙台のラジオパーソナリティとして活躍された奥口文結さん。2019年にフリーランスとなり、現在は「FOLK GLOCALWORKS」を主宰し、ファシリテーターやブランドデザイナーとして仕事を手掛けています。後編では、仕事への向き合い方や、大事にしていること、今後の目標などについてお聞きしました。

― フリーランスになってから3年が経ちましたが、ラジオパーソナリティをされていた当時を知っている方も周りには多いのではないでしょうか?

たしかにフリーランス1年目は「ラジオで喋っていた方ですよね」と声を掛けていただくことは多かったですね。最近では、イラストやSNSをきっかけに知ってくださる方がいらしてとても嬉しいです。また、ラジオ局時代は自分が20代だったこともあり、年上の方とお仕事をすることが多かったのですが、今は年下の子たちと一緒に仕事をすることも多いです。シェアオフィスに入っているのもあって、これまで全く関わりのなかった業種の方とも一緒に仕事をしますし、周りにフリーランスの方が多いので、仕事に対する感覚、熱量みたいなのも会社員の頃とはまた違うものがあって、すごく楽しいですね。

― 新たな出会いやルートを開拓するのも、仕事の上での楽しさにあるのではないですか?

それはありますね。あと、私はずっと仙台で仕事をしていますが、東京で働いている友人が言うには、東京は「この人はこの仕事が得意だからこれをお願いする」といったように、スキルで仕事が回っているところがあるとのことでした。でも、東北や宮城、仙台に関しては、「知り合いにこんな人がいるのですが、一緒に仕事をしてみませんか?」といったつながりの上でビジネスが成り立っているところも多いです。つながりの中で仕事をしていくので、初めてお会いした人でも「実は誰々の知り合いなんです」みたいなケースはよくありますね。

― 環境が変わって、仕事に対する向き合い方、意識にも変化はありましたか?

大きな変化はありませんが、先ほども言ったように、一緒に仕事をする方々の職業、年齢はだいぶ変わりました。最近では、同世代でも、カフェを開いたり、古着屋さんを開いたり、個人で頑張っている人がたくさんいて、そういう方々と仕事で接するといつも気概を感じますし、刺激をもらっています。一方で、そういう方々をいかに世に広めて、新たなつながりを生み出していくかが、私の役割でもあります。お店のPRを手伝うにしても、ただ紹介するのではなく、まずは相手との関係性を築いた上で、どうしてここにお店を出したのか、どうしてこのタイミングなのか、またどういった商品のラインナップなのか、そういう背景にあるストーリーまでちゃんと深堀りをして、消費者の皆さんに提示していかなければいけない、そんな責任感も感じています。

― 物事をただ紹介するのではなくて、その背景にある本質までじっくりと伝える。まさにラジオ局時代から大事にしていることではないでしょうか?

たしかに、それは当時から心掛けていた部分でもあります。そのためには、まずは相手に興味を持つことが必要だと思うんですよね。興味がないと、それが相手にも伝わるし、そもそも深堀りできません。だからこそ、常にいろいろなものにアンテナを張っていく必要があります。そうすることで、言葉やアイディアの引き出しがどんどん増えていくと思うので。

― 特にラジオは画面がない分、言葉での情報量が必要になってきます。その経験も、大いに生きているのではないでしょうか?

本当にその通りだと思います。ファシリテーターの仕事はもちろんですが、ブランドデザイナーの仕事でも、デザインを落とし込んだ後に「どうしてこの色、この模様にしたのか」といった理由は、説明できないとクライアントさんに分かってもらえません。そうしたときに、言葉でサポートすることは、パーソナリティをしていた経験が大いに役立っているのかなと思います。

― この春で独立して4年目になります。今後チャレンジしたい仕事などはありますか?

本当に夢がたくさんあって、やりたいことは山ほどあります。その中で、ブランディングのお仕事は、もっともっと頑張っていきたいですね。たとえば、宮城を連想するものに伊達政宗、ずんだ餅などが挙げられることが多いですが、その他にもスポットがうまく当てられていない歴史や文化など、魅力はたくさんあります。地元で仕事をしているからこそ、それらを世に発信していくためにも、何を誰にどのように発信するか、ブランディングはすごく大事なことだと思っています。自分の活動を通して、ブランディングの大切さや素晴らしさを広めていきたいですね。クリエイターとしては、最近ではイラストを描く機会も増えてきているので、もっといろいろな場所で個展なども開いてみたいです。

奥口さんが手掛けたイラストの数々。活版印刷のグリーティングカードブランド「tegami」には定期的にイラストを提供している

― 最後に、クリエイターを目指す若者たちにメッセージをお願いします。

私が独立した3年前は、会社で働くという流れが主流だったと思うんですよ。でも、ここ2年間、コロナ禍も後押しして、在宅ワークに切り替わったり、二拠点生活をしたり、フリーランスになったりといろいろな働き方ができるような流れが急速に進んでいて、「働き方はこうでなければならない」といった固定概念が崩れつつあるような気がします。もちろん、会社員として働くことで活躍できる方もいらっしゃると思いますが、自分にしっくりこないな、違うかもしれないなと思っている方がいるのであれば、仙台にはいろいろな働き方をしている先輩たちがいるので、そうした方に会いに行ってみて、話を聞いてみるのもいいんじゃないかなと思っています。

― たしかに奥口さんも、未経験からこの分野に飛び込んだわけですもんね。

そうですね。ラジオパーソナリティになる前に、アナウンスの勉強をしていたわけではないですし、今こうしてデザインの仕事をするまでに、専門学校やデザイン業界で経験を積んだわけでもありません。やってみてこそ経験できること、学べることがたくさんあるので、何事もやったもん勝ちだなと思っています(笑)。周りからどんなふうに見られるのかな、経験が浅いのにこんなこと言って大丈夫かなって、不安になるときもあると思いますが、正直、周りは相手の経歴などは案外気にしていなかったりします(笑)。本当に自分がやりたいことがあって、それをやれる環境があるならば、絶対にチャレンジしたほうがいい。そうすれば、いろいろなことが数珠つなぎのように回り出すので、まずは何事もやってみることが大事かなと思っています。

取材日:令和4年1月11日

取材・構成:郷内 和軌
撮影:小泉 俊幸
取材協力:THE6

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奥口文結(おくぐち・ふみゆ)

1989年生まれ、仙台市出身。宮城大学事業構想学部事業計画学科卒業後、2013年に株式会社エフエム仙台に入社。ラジオパーソナリティとして番組制作に携わった後、2019年からフリーランスに。ファシリテーターやイベントMCのほか、もの・ことのブランディングデザインを手掛ける「FOLK GLOCALWORKS」主宰。

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