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クリエイターインタビュー後編|大久僚一(Webデザイナー)

最近は教えることが好き。この仕事の楽しさを伝えていきたいです。

大学や専門学校の講師としても活躍するWebデザイナーの大久僚一さん。教えることの楽しさに気付き、最近は後進の育成にも精を出しています。地元の力で、仙台をデザイン都市にする。そんな明るい未来を願い、これからもさまざまな活動を続けていきます。

―現在は講師としてのお仕事もされていますが、どのような流れで始めることになったんですか?

実は独立した直後に、仙台の花京院にある「株式会社アンドエイチエー」という制作会社の社長さんに相談に乗ってもらっていて、そこからもいろいろと案件をいただいたりしていました。そしたら、会社の役員の方がたまたまデジハリ(デジタルハリウッドSTUDIO仙台)で講師を務めていて、その流れで「今、ちょうど人がいないから、フリーランスならやってみない?」とお誘いを受け、講師をさせていただくことになったんです。そしたらその後、デジハリで講師をやっているということで、母校である東北工業大学からも声を掛けていただいて。Webのサービス開発などの分野を指導できる人がいないので担当してもらえないかとお願いされ、大学の非常勤講師としても働くことになりました。

―ちなみに、それぞれどのようなことを教えているのでしょうか?

デジハリのほうでは「Webデザイン・Webデザイナー専攻コース」の講師を担当させてもらっています。そのコースでは、6カ月かけて、Webサイトをつくってから公開するまでの一通りの基礎を教えているのですが、普段は動画教材を使っていて、分からないことがあれば質問してもらう、というスタイルになっています。その一方で、大学での講義は、全て自分がつくったオリジナル教材。授業の流れとしては、まずはサービスを考えて、マネタイズモデルを考えて、企画書を作って、手書きでサイト構成を作って、フォトショップを使ったデザインやコーディング技術も学んで、最後はプレゼンテーションをして…、といった結構ハードな内容になっていまして(笑)。基本は1日2コマで200分、これを1カ月半かけて12回やるので計2400分の授業になります。12月から今期の授業が始まるので、ちょうど教材を作っている最中なんですが、これがとても大変で…。ただ、それと同時にやりがいも感じています。最近になって「教えることが好きなんだな」と気付きましたね。

―学生を指導するときに、大事にしていることはありますか?

まずはWebデザインの楽しさを伝えていきたいと思っています。誰でも開発できるし、アイディア一つで世界を変えられる、そんな可能性を秘めた分野なんだよ、といったことに気付いてほしい。なので、教えるときは毎回必ず「講義は楽しく受けましょう」と言って、なるべく学生と近い距離で接するようにしています。それに、できあがった作品に対して、否定することはありません。そのルーツにあるのは、これまで一緒に仕事をしてきた先輩方。この仕事を始めたばかりのとき、怒ることなく優しく接してくれた。その教えがあったから、自分はここまで成長することができました。よく考えると、僕も今、それを真似しているのかなと思っています。

―大久さんにとって、この仕事のやりがいとは何だと思いますか?

最近では「地域をデザインする」ということに魅力を感じています。会社員時代は東京の案件をたくさん担当させていただきましたが、フリーランスになってからは仙台、東北といった地元の案件を担当させていただくことが多くなりました。現在進行中のものだと「仙台駅前EBeanS」のWebサイトを作っていまして、メインのデザインは自分が担当していますが、全体では地元のデザイナー総勢20人ぐらいが制作に携わっています。地元に貢献できるのはうれしいですし、「地元の力だけでこれだけできるんだぞ!」といったアピールにもなるので、とても気合いが入ります。それに、東京の案件とは違って、地元の案件だと比較的名前が表に出るケースが多いんですよね。その分プレッシャーは大きいですし、下手なデザインはできないと思うとかなり神経を使いますが(笑)、こうして実績を積み重ねることで「こんな作品をつくっています」と胸を張って学生たちに言えるので、いい刺激なっています。

―これからの目標やチャレンジしたい分野などはありますか?

今は教えることがとても楽しいので、まずは講師の仕事に力を入れていきたいと思っています。実は、東北工大の非常勤講師になったのは学生時代の教授の方から声を掛けていただいていたのがきっかけで、その方からは「昔から講師になりたいって言ってたよ」と言われました。自分は全然記憶にないんですけど…(笑)。ただ、今その立場になってみて、その気持ちを改めて確認することができたので、これからも教える仕事は続けていきたいです。というのも、フリーランスっていつまで食べていけるか分かりませんからね。こうやって教えることは、すなわちライバル増やしていることになりますし、自分の案件もなくなっちゃいますから(笑)。でも、ゆくゆくは仙台も「デザイン都市」になってほしいという願いがあるので、仙台でデザインを勉強した人が、仙台を拠点にして働いて、地元を賑わせてほしいなと思っています。

―最後に、Webデザイナーを目指す人たちにメッセージをお願いします。

この仕事は誰でも始められますし、年齢も性別も関係ありません。前の会社で取り引きしていた人には、60代後半の人もいました。なので、少しでもこの分野に興味があったら、チャレンジしてほしいと思っています。もし話を聞きたいという人がいれば、ぜひ来てください。いつでも相談に乗りますよ!

取材日:令和2年11月25日

取材・構成:郷内 和軌
撮影:豊田 拓弥
取材協力:SPECES仙台、デジタルハリウッド STUDIO仙台

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大久僚一(おおひさ・りょういち)

1988年生まれ。大学卒業後は医療業界に就職。26歳からデザイン業界に転職し、都内・仙台のWeb制作会社にてデザイン業務を経て2017年にフリーランスに転向。クライアントの課題を解決するために、企画提案から制作・運営まで行っている。また株式会社湯治の代表取締役CTO、東北工業大学の非常勤講師、未経験の方々にデザイン講座を行う。RethinkCreatorとしても講師を勤めている。

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