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クリエイターインタビュー|加賀谷 明寛さん(後編)

栃木県宇都宮市の文星芸術大学でデザインを学び、現在は仙台でフリーランスのグラフィックデザイナー、そしてシェアオフィスTHE6のファシリテーターとして活動している加賀谷明寛(かがや あきひろ)さん。「運よくいろいろな人たちと出会うことができた」という加賀谷さんに、これまでの活動や人とのつながりについて話を聞きました。

 

―仙台で働いていて、「こうなれば働きやすくなるのではないか」と思うことはありますか?

んー、難しい質問ですね(笑)。私自身、仙台で仕事をするようになってまだ1年ちょっと。下積みが全くないにも関わらず、仕事の話をいただけるだけでもありがたい状況です。逆に私の方から迷惑をかけてしまうことの方が多いので、「自分がもっとこうすれば、働きやすくなるんじゃないか」って考えてます。デザインの質やスピードを上げることももちろん、仕事の働き方とかクライアントとのやりとりだとか。なので周りの環境や人がこうなれば良いなぁではなくて、私自身が変化していかないとって思っています。

―今後やりたい仕事はありますか?

自分で考え出したアイデアや企画を形にして、それを仕事にしていきたいっていう目標は持ってます。そういう意味では、蛇足の会()の最終発表会で出した「東北六県すごろく」はとても良い経験でした。「東北六県すごろく」という企画から、すごろくのコンセプトやアイデア、ルールを考えたり。制作面でもアナログ作業で段ボールを切ったりガムテープを切り貼りしたり。ずっとスポーツをやっていたせいか、体を動かしてつくるのがすごく楽しかったですねー。こういった企画や活動を仕事につなげていくことが目標であり、今後仕事としてやっていきたいことです。

 

  • ※蛇足の会:とうほくあきんどでざいん塾が主宰する、仙台市域で活動する若手クリエイターを対象としたワークショップやフィールドワークを通して思考を磨く実践の場
企画から制作まで、自分で手を動かしていくことにやりがいを感じたと語る加賀谷さん

―仙台にこんな人がもっと増えたらおもしろい、というのはありますか?

仙台で活動をされている方達に、私がまだまだ出会えていないというのがあります。なので私から言える立場ではないんでけど、アートやデザインについて批評する人が仙台の中から増えると良いのでは、という話を周りから聞いたことがありますね。外から俯瞰的に見る人が増えて、そういった人と関わる場所や機会が増えると、仙台独自の発想が生まれてくるんじゃないかなぁと思います。

―仙台藝術舎もそういうところから始まっていますよね。

そうですね。美術や建築の世界で有名な講師陣から話を聞いたり、最後は参加者が実際に作品をつくって発表するという流れになっていますよね。普段個人で仕事をしていると、周りの人から批評を受けたりアドバイスをもらったりというのがあまりないので。レベルアップのためにもそういった機会がもっと増えて欲しいです。

―周りで目標にしている人はいますか?

いません!って言うとなんか悪い感じに聞こえちゃいますけど、、、いませんね(笑)。というのも、今はたくさんの人から仕事に対する働き方や考え方を吸収したいという気持ちが強いんです。

その理由として、職場であるTHE6の存在が大きいなぁと。ジャンルの違った仕事をしている人たちが集まっていて、ここにいるとデザインに限らずいろいろな分野の話が聞けるんです。また同学年の人もいれば、会社でいうところの上司や先輩、後輩にあたる人がいたり。そんな環境だからこそ特定の人に目標を持つことはせず、たくさんの人に目を向けて吸収できるように心がけています。

―最後に、クリエイターを目指す学生にメッセージをお願いします。

ここ1年の私の経験から言わせていただくと、とにかく人とのつながりを大切にして欲しいということです。クリエイターという仕事に限らずですけど、ものづくりをしていくためには周りの人たちと力を合わせていくことが必要不可欠ですし、私自身仕事をしていてすごく痛感しています。

また学生という立場は、周りに助けてくれる人がたくさんいるというのが特権だと思います。学内だけではなく、学外の人に作品を見てもらって「私はこういうことができます!」というのを知ってもらう。そうすることで将来的に仕事へとつながっていく可能性を広げて行って欲しいなぁと思います。

取材日:平成29年3月1日
聞き手:SC3事務局(仙台市産業振興課)
構成:岡沼 美樹恵

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加賀谷 明寛

1990年仙台市生まれ。青森市育ち。宇都宮文星芸術大学デザイン専攻卒業。
卒業制作の映像作品がTBS主催映像コンペ「Digi Con6」にて入選。堤幸彦監督SPEC賞、Lilico賞、学生賞にノミネート。大学在学中は産学連携プロジェクトに複数参加し、栃木県の人々と共に制作活動を行う。そこで地域に根付いたデザイン活動をしていきたいと考え始める。
現在、仙台のシェア型複合施設「THE6」の企画・運営に携わりながら、個人では人との繋がりも生み出すことを目標に、グラフィックデザインの仕事に取り組んでいる。

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